オーダースーツの基本知識

【オーダースーツとは】

オーダースーツの楽しみは、自分のスタイルを作り上げていくことです。スーツを上手に着こなすコツ、それはまずはじめに、着こなしのお手本となる人を見つけることとです。 こだわりのスーツが着てみたくなったら、さっそくオーダースーツを作ってみよう。 でもその前に、まずは予備知識を入れておくとよいです。
オーダースーツとは一体どのようなものなのでしょうか? 日本では現在、オーダースーツは様々に規格に区分され、実に10種類以上にも渡る名称で呼び分けられています。 例えば、オーダーメイド、パターンメイド、カスタムメードなどです。 そのためオーダースーツの正式な定義は曖昧となり、時として難解なものという印象も否定できません。
オーダースーツの規格は、たしかに幾通りもの名称で呼ばれていますが、大きく分類すると、各顧客に応じて1からパターンを起こす「フルオーダー(完全な注文服)」と、あらかじめ決められたパターンから調整を行う「パートオーダー(部分的な注文服)」の2種類に分けれます。
欧米では、これらを「ビスポーク(フルオーダー)」と「メイド・トゥ・メジャー(パートオーダー)」または「ス・ミズーラ(パートオーダー)」として呼び分けています。
「フルオーダー」には、パーツを仮組して調整を行う「仮縫い」という工程があります。 これは、職人さんによるフルハンドの仕立てが主となるため、その価格は一般的に高額です。
それに対して「パートオーダー」は、基本的に「仮縫い」は行わず、フィッターの採寸をもとに「直縫い」で仕上げていきます。 「仮縫い」工程を補うのは、採寸時に着用する「ゲージ服(測定服)」です。 価格は様々で、既製品並みにリーズナブルなものもあれば「フルオーダー」並みに高額なものもあります。

【スーツのパーツの種類】

スーツは約30のパーツから成り立っています。 それぞれのパーツには名称があり、意味もあり、目的があります。
オーダースーツは、基本的にはそうした1つ1つのパーツのアレンジが可能です。 スーツのパーツを知ることは、自分流のこだわりスーツを作り上げ行く際に大切なことです。

・カラー
テーラードカラーの上衿(うわえり)を指します。 チェスターフィールドなどの礼服用コートでは、この上衿に黒のベルベット地をあしらってフォーマル仕様とします。

・ゴージ
カラーとラペルの境目にある縫い線を指します。 この線を指して「ゴージライン高め、低め」と表現し、その高さは時流やスタイルなどを反映します。

・フラワーホール
ラペルにあるボタンホール。 ラペル穴とも呼ばれ、元々は風よけとして衿を立てた時にボタンホールとして実際に使用されていました。 現在は、ここに花やラペルピンなどを挿します。

・胸ポケット
胸ポケットのデザインには、直線的な箱型ポケットや、クラシコイタリアの象徴的なディテールとされる「バルカ(舟型)ポケット」などがあります。

・フロントカット
フロントカットの種類には、主に前裾を大きくカットした「カッタウェイカット」、丸くカットした「ラウンドカット」、ダブルスーツなどに用いられる「スウェアカット」などがあります。

・フロントダーツ
スーツの両前身頃にある縫い線のこと。 胸から腰にかけて縫われたフロントダーツは、スーツをより立体的に見せ、ウエストに美しいシェイプを作り上げます。 アメトラスタイルはノーダーツが基本です。

・腰ポケット
脇ポケット、サイドポケットとも呼ばれ、ポケットについたフラップ(雨蓋)は、フォーマル時の正規な繕いとして、室内では中にしまい込み、屋外では外に出すものとされています。 これ、私は知りませんでした。 常に外に出しておくのが正解だとずっと思っていました。 よくポケットを利用した際に、フラップが中に入り込んでしまっていることがありますが、中に入れておいて正解ということがあるのですね~。

・袖ボタン
切羽とも呼ばれ、実際に開閉できる仕様を「本切羽」、縫い付けてある仕様を「仮切羽」と呼びます。 ボタン数も1,2,3,4など様々です。 重ね付けしたボタンの仕様を「キットボタン」と呼びます。

・ベント
その種類には、乗馬に対応したとされる「センターベント」、サーベルを吊るのに対応したとされる「サイドベンツ」、鉤型に切り込んだアメトラ(アメリカン・トラッド)仕様の「センターフックベント」などがあります。

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